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第38回:高速道路無料化

2009年9月に民主党の政権が誕生しました。これまで55年も続いてきた自民党は選挙に破れ、国民は政治を変えてくれると期待して、民主党を選びました。その民主党の公約の一つに「高速道路の無料化」というものがあります。高速道路が無料になれば、ガソリン代だけで全国どこへでもいけるようになります。一見良さそうに感じるこの政策ですが、実は様々な問題を抱えています。では、高速道路無料化の何が問題になるのでしょうか。そこで、今回は高速道路無料化についてお話をしたいと思います。


そもそも高速道路は無料になるはずだった!?

もともと高速道路が建設された当初は、将来的に無料化される予定でした。例えば、東名高速道路のような利用者の多い路線であれば、高速道路を建設するときにかかったお金が返済されれば、その後は無料となる予定でした。ところが、田中角栄内閣の時に「料金プール制」が導入され、全国の高速道路の借金が返済されるまでは無料化しないという方針に変わったため、無料化がどんどん遅れていきました。そして、2002年にとうとう高速道路無料をあきらめて、高速道路は将来にわたって「有料」にすると決まったのです。

さて、このような経緯で「有料化」が決まったのですから、無料になることで国民は大喜びをしても良さそうなものです。しかし、実際には高速道路無料化に賛成の人だけではなく、反対の人も大勢いるのです。では、それはなぜなのでしょうか。賛成の人と反対の人の意見をそれぞれ見てみましょう。


あなたは高速道路無料化に賛成?反対?

では、まず高速道路無料化に賛成の人の理由から見てみましょう。
高速道路無料化に賛成の人の理由は大きくわけて3つです。

1.ガソリン代だけで全国どこでも行ける
2.物の値段が下がる
3.景気がよくなる。

1.ガソリン代だけで全国どこでも行ける

今まで高速道路は有料だったわけですから、無料になれば当然安くどこへでも行けます。たとえば、毎年お正月やお盆に田舎に帰る際、車で東京から大阪まで帰っている人にとっては、片道8,000円、往復で16,000円かかるのが無料になるのです。

また、毎週車でスキーに行っている人ならば、東京から新潟まで往復で10,000円かかっていたとすると、1シーズンで12回いく場合であればなんと12万円。これが無料になるのです。このように、帰省や旅行などにかかるお金がとても安くなるのが魅力です。

2.物の値段が下がる

車を持っていない人にとってもメリットはあります。例えば、肉や野菜をお店で買う場合、その代金は農家の人たちに支払うお金だけでなく、そのお店にトラックなどで運ばれてくる輸送費なども含まれています。遠くから運ばれてくる場合、トラックは高速道路を通ってくることになるので、高速道路が無料になれば、当然輸送費は下がるので、肉や野菜などの値段も下がることになります。このように、物を運ぶ値段が下がるので、結果として物の値段を下げることができるようになるのです。

3.景気がよくなる

旅行者が増えるようになれば、地方へ旅行する人も多くなるでしょう。そうすれば、地方の活性化につながります。また、日本では自動車の仕事をしている人は実に89万人にも上り、自動車関連の仕事まで含めると、なんと515万人もいるのです。車が売れるかどうかは、日本の景気を大きく左右します。つまり、高速道路が無料化になることで、景気が良くなると考える人も大勢いるのです。


では、今度は反対派の人の意見を聞いてみましょう。

1.道路が混雑する
2.鉄道やフェリーなどがなくなってしまう可能性がある
3.CO2削減どころか、二酸化炭素が増えてしまう

1.道路が混雑する

高速道路を無料化するとみんな高速道路を使うようになり、結果として大渋滞となってしまうことが予想されます。高速道路のいいところは目的地まで早く着けることなので、いつも渋滞するのであれば、もはや高速道路ではありません。

これは車を持っていない人にとっても影響があります。例えば、宅配便を頼んでも、道路が混んでいると時間通りに荷物がつかない可能性があるので、時間指定などができなくなってしまうかもしれません。
このように、道路が混雑してしまうという欠点があります。

2.鉄道やフェリーなどがなくなってしまう可能性がある

高速道路が無料化になれば、今まで鉄道や船などで移動していた人が、車で移動するようになるので、利用者が減ってしまいます。すると、鉄道会社やフェリー会社は収入が減るので、事業ができなくなってしまう可能性があります。車を持っていない人にとっては、鉄道やフェリーなどは大切な交通手段であり、なくなってしまえば困ってしまいます。また高速バスの利用者も、自分で運転した方が安ければバスを利用しないようになるため、利用者が少なくなってしまいます。実際に高速道路無料化になった場合、たくさんの会社が倒産してしまう可能性が高いとも言われています。このように、鉄道会社やフェリー会社などにとっては深刻な問題なのです。

3.CO2が増えてしまう

2009年9月に鳩山総理大臣が国連の演説で、CO2(二酸化炭素)などの温室効果ガスを2020年までに25%削減すると宣言し、世界から高い評価を得ました。ところが、高速道路が無料化になれば車で出掛ける人が増えるわけですから、二酸化炭素の量は逆に増えてしまいます。世界が一生懸命CO2を削減しようとしている中にあって、世界的な流れに逆行しているという批判を世界中から浴びてしまう可能性があるのです。


高速道路無料化に反対の人は国民の3人に2人

では、国民全体で見た場合、高速道路無料化に賛成している人はどれくらいいるのでしょうか。以下の図をご覧下さい。

このように、高速道路無料化に賛成の人は26.1%で、1/3以下であるのに対し、反対の人は68.1%と、2/3以上を占めます。

高速道路を無料化することで国民が便利になるのはいいことですが、新たな高速道路を作ったり補修したりといったお金は、現在は利用料から支払われており、これが無料化になってしまうと、その分は税金で穴埋めをしなければなりません。

ただでさえ借金だらけの日本でこれ以上税金を増やせば、その借金は将来のこどもたちが返さなければならず、それだけに道路の渋滞や鉄道・フェリーなどの影響、CO2の問題とあわせて高速道路の無料化は慎重に考えなければならない問題なのです。


執筆:坂本光(さかもと ひかる)CFP
一級ファイナンシャルプランナー・CFP®、日本キャリア開発協会認定キャリアカウンセラー、日本応用カウンセリング審議会認定心理カウンセラー。2006年5月週末起業を決意し、通信会社に勤務しながら合同会社FPアウトソーシング代表を務める。ファイナンシャルプランニングに関する個別相談・セミナー講師としても活動中。

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