子供に話すお金の話

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第35回:会社が倒産したらどうやって生活するの?

突然ですが、お父さんやお母さんが勤めている会社が倒産してしまったらどうなるのでしょうか。お父さんやお母さんがお仕事で働いているので、生活するためのお金がありますが、会社が倒産してしまうと、会社はお父さんやお母さんにお給料が払えなくなってしまいます。そうすると皆さんは生活に困ってしまいますね。こんなことにならないように、会社やお役所に勤めている人は通常、「雇用保険」というものに入っており、お仕事がなくなった(失業した)ときには国に申請すれば、お金をもらえる制度があるのです。では、この「雇用保険」とはいったいどんなものなのでしょうか。そこで今回は「雇用保険」についてお話をしたいと思います。


失業保険ってなに?

では雇用保険って具体的にはどんなものなのでしょうか。

普段、お父さんやお母さんがお仕事をすると、お給料の中から一部を国に支払うことになっています。このお金は失業してお給料がもらえなくなってしまった人たちのために、働いている人と会社の両方が国にお金を納め、失業したらその集めたお金の中から支払われるようになっています。つまり、お父さんやお母さんが失業してお給料をもらえなくなったときには、国からお金をもらえるようになっているのです。もらえるお金はそれまでもらっていたお給料の50〜80%の間であり、もらえる金額や期間は仕事を辞めた理由、年齢などによって違います。例えば、28歳の男性が1日平均10,000円のお給料をもらっていて、会社を辞めることになった場合は1日あたり5,705円、つまり約6割を90日(つまり約3ヶ月間)にわたってもらうことができます。

また、会社を辞めなければならなくなったとき以外にも国はお金を支払ってくれるケースもあります。例えば、お母さんに子供が生まれてお仕事をお休みするときには、1年間はお金が支払われることになっています。また、そのほかにもおじいちゃんやおばあちゃんなどを介護するために仕事を休まなければならなくなったときにもお金が支払われます。つまり、万が一お仕事ができなくなったときに、ある一定期間はお金がもらえる、とても心強い制度なのです。

この制度は日本では60年以上も前に法律で定められました。当時は第二次世界大戦が終わった直後で世の中が混乱していましたから、とにかく国民のみんなが安心して仕事をできるようにするため、働く人のための様々な制度が作られた時期でもあります。ちなみに世界で最初にこの仕組みが作られたのはイギリスで、18世紀頃といわれています。もともとは職人さんたちがお金を出し合い、自分たちが失業をしたらみんなで集めたお金から失業した人にお金が支払われる、という形をとっていました。そしてイギリスでは1911年に法律で定められるようになるとその動きはヨーロッパ全体に広がり、イタリアでは1919年、オーストリアでは1920年、ドイツは1927年、フランス1930年にそれぞれ法律化されました。ちなみに中国では約10年前の1999年に制定されています。このように世界中でも同じような制度があることがわかります。


この不景気で失業者は増えつつある

日本では60年前にできたこの制度ですが、最近また注目を集めつつあります。では、なぜ注目されるようになったのでしょうか。実は、景気の良し悪しと大きく関係があるのです。日本では1990年に入ると、だんだん景気が悪くなってきました。

以下の図をご覧ください。

1990年以降、失業者が増え続けていることがわかります。それでも2003年から2008年までは景気が回復して失業者は減りつつあったのですが、2008年の9月に起きた経済危機以降は再び失業者が増え始め、昨年の2009年には347万人にものぼりました。

失業する人が増えるにしたがって、失業手当をもらう人も増えています。以下は失業手当をもらった人数になります。

この図を見てもわかる通り、やはり2008年から急に増えており、2009年にはさらに増える見込みとなっています。この傾向は日本だけではなく、アメリカやヨーロッパでも失業する人が多く、そのため失業手当をもらう人は世界的に増えています。

ただし、失業をした人すべてが国からお金をもらえるわけではありません。例えば失業になったとしても6ヶ月以上働いていない場合は、お金をもらえる資格がありません。したがって、6ヶ月以内に会社が倒産してしまった場合などは国からお金をもらうことはできません。また、会社に勤める契約が短期(1年未満)の場合は雇用保険に加入していない場合が多く、その場合も失業したときは国から支払われません。例えば、派遣社員などで契約期間が短い場合はそもそも雇用保険に加入していないことも多く、したがって失業手当をもらえないケースが多いのです。

以下は2009年3月24日に国際労働機関という国連の団体が発表したデータです。

日本 77%
アメリカ合衆国 57%
イギリス 40%
フランス 18%
ドイツ 13%

特に、2008年9月の経済危機以降で失業手当をもらえない人の割合は日本では77%。なんと4人のうち3人以上がもらえない計算になります。

これはなぜかというと、先ほどもお話をした通り、日本では失業手当をもらうためには1年以上仕事をしてお給料をもらう必要があり、最近ではそもそも仕事の契約期間が1年未満の場合、あるいは1年以上勤める前に会社自体が倒産してしまった場合などが多いためです。


雇用保険は日本全体での助け合い

雇用保険は、お給料をもらっている人や会社が協力してお金を出し合い、お給料がもらえなくなった人たちを支援できるように、社会全体で助け合いをしているすばらしい制度です。しかし一方で、先ほどお話したとおり派遣社員などは、普通の会社員と同じように働いているのに、失業したときにお金がもらえない場合もあり、まだまだ制度としては不十分です。これからは、そういった人たちも手当がもらえるように法律改正をして、社会みんなで助け合っていけるような法律を国は作って欲しいですね。


執筆:坂本光(さかもと ひかる)CFP
一級ファイナンシャルプランナー・CFP®、日本キャリア開発協会認定キャリアカウンセラー、日本応用カウンセリング審議会認定心理カウンセラー。2006年5月週末起業を決意し、通信会社に勤務しながら合同会社FPアウトソーシング代表を務める。ファイナンシャルプランニングに関する個別相談・セミナー講師としても活動中。

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