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第29回:火災保険

あまり考えたくないことですが、今住んでいる家が火事になってしまったらどうなるでしょうか。住む家がなくなってしまいますね。特に、住宅ローンなどでお金を借りて家を買った人であれば、家を失ってしまうだけでなく、借りたお金も返し続けなければなりません。こう考えると、家が火事になってしまうことは大損害なのです。このようなことがないように、火事など万が一のことがあった時に、「火災保険」というものがあり、毎月決まったお金を保険会社に支払っていれば、家が火事になってしまったときでも家を建て直すためのお金が支払われるという制度です。そこで、今回は火災保険についてお話をしたいと思います。


どんなときにお金がもらえるの?

さて、この火災保険というものはどんな時にお金を支払ってもらえるのでしょうか。実は火災保険といっても、お金が支払われるのは火事のときだけではありません。雷や風などで家が倒れてしまった場合や、あるいは雪の重みで家が押しつぶされてしまった場合もお金を支払ってもらえます。火災保険の種類によっては、台風や洪水などの水害でも支払いの対象になる場合もあります。

では、地震の場合はどうでしょうか

残念ながら、地震の場合は火災保険ではカバーされません。地震も保険の対象とする場合は、火災保険とは別に「地震保険」というものに加入する必要があります。

では、地震が原因で近所の家が火事となってしまい、燃え広がって自分の家も火事になった場合は火災保険で支払ってもらえるのでしょうか。この場合、火事であったとしても「地震による災害」とみなされてしまうため、地震保険に加入していないと保険金を受け取ることはできません。ちなみに、地震保険は必ず火災保険とセットで加入をしなければならず、したがって火災保険に加入せず地震保険だけに加入する、ということはできません。


保険に支払うお金はどう決まるの?

では、火災保険に加入したときに毎月支払うお金はどの家でも同じ金額なのでしょうか。それとも家によって違うのでしょうか。答えは「家によって保険料が違う」が正解です。例えば、5億円の豪邸と3000万円の家では、火事で全焼してしまったときに必要な補償額が当然違うことは想像できるでしょう。では、どんな要素で毎月支払う保険料が決まるのでしょうか。大きく分けて「建物の場所」「建物の大きさ」「建物の構造」「保険に加入する期間」の4つで決まります。

1. 建物の場所
家が建っている場所によって支払う金額が違います。これは、住んでいる場所によって災害の発生率が違うからです。例えば、九州や沖縄であれば台風や大雨などが多く、逆に北海道や東北などの豪雪地帯であれば雪による被害が大きくなります。このため、住んでいる地域によって保険料が変わります。

2. 建物の面積
一般的に考えて、大きな家であればあるほど、火災で家が燃えてしまった場合の損害も大きくなります。その場合は支払われる保険料も多くなるため、その分毎月支払う保険料も高くしなければなりません。家の大きさを測る基準は「建物の面積」で決めています。例えば、2階建ての家であれば1階と2階の面積の合計、となります。

3. 建物の構造
建物の構造や使われている建築材料によって、火事になりやすいかどうかが違ってきます。例えば、鉄筋コンクリートと木造の家では、鉄筋コンクリートの方が火事になりにくいでしょう。このように、火事になりにくい場合はそれだけ保険料が安くなり、逆に火事になりやすい場合は保険料が高くなります。

4.保険に加入する期間
火災保険は、1年ごとに契約することもできますが、長い期間まとめて加入すると長期割引になるため、その分保険料が安くなります。ただし、長い期間加入する場合は、途中で家を建て直した場合などは、そのつど保険の内容を見直す必要があるので注意が必要です。


火事になる原因ってどんなものが多いの?

ところで、火事の原因はどんなものが多いのでしょうか。
以下は消防庁が発表した、2008年度に実際に起きた火災の主な原因です。

これを見ると、なんと一番の原因が「放火」になります。「放火」と「放火の疑い」を合わせると、実になんと約20%。5件に1件は放火ということになります。

このほかに、こんろが10.9%、たばこが9.7%、たき火が5.8%となっています。たばこの不始末というのは火事の第3位に入るほど大きな原因になっていることがわかるかと思います。


火事の原因がお隣さんの火の不始末だった場合は・・・

では、お隣に住んでいる人のストーブが原因で自分の家が燃えてしまった場合、お隣さんから弁償してもらえるのでしょうか。実は、この場合は弁償してもらえません。

日本には「失火責任法」という法律があり、「失火の場合には、失火者に重大な過失がなければ、損害賠償の必要はない」となっています。この「失火」とは、「何らかの過失(不注意やミスなど)により火事を出してしまうこと」を指しています。

つまり、「自分で火事を出して隣の家まで燃えてしまった場合は、その人に大きな落ち度がない限り、弁償する必要はないですよ」という法律なのです。

逆に言うと、自分が火事を出していないにも関わらず、隣の家から燃え広がって自分の家が火事になった場合、火災保険に入っていないと誰からも補償されないことになってしまいます。ちょっと納得いかないかもしれませんが、日本の法律ではこのようになっているのです。したがって、火災保険は必ず入っておく必要があるのです。

ただし、重大な過失による原因で火事になった場合はこの限りではありません。例えば、てんぷらを揚げている途中で台所を離れて火事になった場合や、寝タバコが原因だった場合は、「重大な過失」であり、うっかりミスとは認められません。したがって、火事の原因を作った人に対して損害賠償を請求できることになっています。

では、自分が火の不始末により火事を出して、隣の家も燃えてしまった場合はどうすればよいでしょうか。先ほどの話しでも申し上げたとおり、うっかりミスであれば弁償をする必要はありません。しかしながら、法律上はそうであっても、実際には「少しは賠償をして欲しい」と言われるかもしれません。そのときはどうすればよいのでしょうか。

通常、火災保険にはお見舞金も含まれており、類焼先に対するお詫びとして「失火責任見舞金」というのが支払われます。ただし、これも一戸あたり20万円が限度となりますので、火事の規模によってはこれで十分とは言えないケースもあるでしょう。つまり、お金だけでは十分に解決するとは限らないのです。

そこで大事になってくるのは普段からのコミュニケーションです。お互いに知った仲間であればいろいろと協力してくれるでしょうし、逆に普段から仲が悪い、あるいは見知らぬ同士であれば、何かが起きたときにトラブルとなる確率も高くなります。

こういった点を考えながら、普段からのご近所づきあいで仲良くしておくことも、万が一火災が起きたときのことを考えるととても重要なことであるといえるのです。


執筆:坂本光(さかもと ひかる)CFP
一級ファイナンシャルプランナー・CFP®、日本キャリア開発協会認定キャリアカウンセラー、日本応用カウンセリング審議会認定心理カウンセラー。2006年5月週末起業を決意し、通信会社に勤務しながら合同会社FPアウトソーシング代表を務める。ファイナンシャルプランニングに関する個別相談・セミナー講師としても活動中。

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