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第21回:会社をつくる(設立する)

会社を設立する場合、以前は株式会社だと最低でも1,000万円ものお金が必要でした。ところが2006 年に法律が変わり、今は少ない金額で会社をつくることができるようになりました。そのため、会社を退職した人や学生が会社を作るなど、「お手軽に」会社を作る人が増えています。そこで、今回は「会社を設立する」というテーマでお話をしたいと思います。


インターネットが「会社」を変えた!?

では、なぜ会社がお手軽に設立できるようになったのでしょうか。

これは、インターネットが広まったことと大きく関係があるのです。昔は会社を設立するには、色々とお金がかかりました。例えば商売を始めるには、事務所やお店などを借りなければなりませんし、机やいす、本棚、電話やFAX、コピー機なども必要になります。また、その他にも働いてくれる人も雇わなければならないでしょう。このように新しく商売を始めるには、たくさんのお金が必要だったのです。そのため、株式会社であれば何かあっても大丈夫なように、必ず1,000万円(有限会社であれば300万円)は用意するように法律で定められていたのです。

ところがインターネットが広まったおかげで、あまりお金をかけずに商売をすることが可能になりました。例えば、インターネットを通じて通信販売を行うときには、お店がなくてもホームページを作ってお客さんに宣伝し、注文を受け付けることが可能です。また、お客様に商品を送る場合には、商品を自分で持っていなくても契約をしている会社から直接お客様に送ってもらえるようにメールなどで依頼し、お金の支払いもインターネットネットバンキングを使えば簡単にできるのです。つまり、ホームページ、メール、パソコンなどがあれば全て商売ができる時代になったのです。しかも最近ではほとんどの家庭にパソコンとインターネットが普及しましたから、商売をするのに必ずしも多くのお金を必要としなくなりました。このような最近の状況を踏まえて、会社が設立しやすいように法律が改正となったのです。


日本にはどんな会社形態があるの?

では、日本にはどんな会社形態があるのでしょうか。 以下の図を見てください。

●会社の種類(図1)

  株式会社 合名/合資会社 合同会社
出資者の責任 有限責任 無限責任 有限責任
会社内のルール 制約が多い 自由に作れる 自由に作れる
設立にかかる期間 1〜2ヶ月 数日 数日
 
2006年から認められた
新しい会社形態

大きく「株式会社」「合名/合資会社」「合同会社」の3つに分かれます。(厳密には合資会社と合名会社は違うのですが、ほとんど違いがないため、ここでは「合名/合資会社」としてお話をします)

まず、「株式会社」と「合名/合資会社」を比べてみましょう。

株式会社と合名/合資会社の一番の大きな違いは、「有限責任」か「無限会社」かの違いです。では有限責任と無限責任は何がどう違うのでしょうか。一言で言うと、会社がうまく行かなかったときに「出資した人がどこまで会社に責任を負うか」ということを指します。

●有限責任の場合(図2-1)

有限責任の場合

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●無限責任の場合(図2-2)

無限責任の場合

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ちょっとわかりづらいので具体的に言いますと、Aさんがある会社に100万円出資をし、その会社が1億円の借金を抱えて倒産してしまった場合、もしその会社が株式会社であれば有限責任ですのでAさんは借金までを支払う必要はありません。(ただし、出資した100万円は返ってこない可能性はあります。)それに対して、もし倒産した会社が合名会社あるいは合資会社であれば、出資した100万円が返ってこないだけでなく、借金も会社の代わりに返さなければなりません。つまり、無限責任の場合は多くの借金や賠償金などを支払うリスクが高い、ということになります。

その代わり、合名/合資会社は会社のルールを自由に決められるというメリットがあります。たとえば、株式会社ですと「取締役会」や「株主総会」などの会議を定期的に開かなければなりませんが、合名/合資会社は特に必要はありません。また、会社で利益が出たときに、配当金を株式会社の場合は出資をした比率に応じて支払わなければならないのに対して、「合名/合資会社」であれば自由に決められます。

では、合同会社とはどんな会社なのでしょうか。合同会社は2006年5月に法律が改正になった際に新しく認められた制度であり、株式会社と合名/合資会社の「いいところ取り」をした形態といえます。つまり、株式会社と同じ「有限責任」でありながら、かつ会社の内部ルールも自由に決められ、また会社が設立されるまでの手続きも簡単で、時間もかからないという特徴を持っています。まだまだ知名度は低いですが、今後は合同会社が増えていくと予想されます。


会社を設立するにはいくらぐらいかかるの?

では、会社を作るにはいくらぐらいかかるのでしょうか。

●設立費用 (図3)

合名/合資会社 合同会社 株式会社
登録免許税 6万円 登録免許税
定款印紙代
定款認証代
15万円
4万円
5万円
合計 6万円 合計 24万円
※登録免許税は、資本金の0.7%と6万円(株式会社の場合は15万円)のどちらか高い方になります。
 

図3の金額は、会社設立に必要な費用を示したものです。

合名会社/合資会社と合同会社は最低でも6万円、株式会社の場合は24万円かかります。

このうち株式会社の場合は定款という会社のルールを定めたものを作成する際に、「公証人」という定款のプロからのお墨付きをもらう必要があるため、定款作成費と定款印紙代が必ずかかります。

ただし、これはあくまで会社を設立するために最低限必要なお金であり、この他に実際に会社を運営していくために事務所を借りたり、あるいは従業員に給料を支払う金額などに合わせて、ある程度の資本金が必要となります。資本金の最低金額は2006年の法律改正以降は特に定められておらず、極端な話をすれば1円でも可能です。ただし、資本金が1円だと何かあったときに全く支払いができなくなってしまいますので、会社の規模に応じてある程度余裕を持って資本金を決める必要があります。


お年寄りを中心にこれから会社を作る人が増える?

では、今後はどんな人が会社を設立すると考えられるでしょうか。実は、60歳を過ぎた方々を中心に会社を設立する人が増えてくるのではないかと言われています。第2次世界大戦が終わった直後の1947年以降に生まれた人たちは「団塊の世代」と言われ、1947年から1949年の3年間で生まれた人口は、厚生労働省によると約800万人にも上ります。この日本の高度経済成長時代を支えてきた人々が2007年以降に続々と定年を迎えますが、この団塊の世代の中からもビジネスのアイデアがある人が中心となって、退職金などで会社をつくる動きも盛んになりつつあります。

この他にも学生どうしで会社を設立したり、あるいは最近では副業を認める会社も増えてきたため、今勤めているサラリーマンが週末ビジネスとして会社を設立するという動きも徐々に広まっています。

2006年からは気軽に会社を設立することが可能になったので、ビジネスのアイデアさえあれば、これからはますます会社を設立する人が増えてくることでしょう。


執筆:坂本光(さかもと ひかる)CFP
一級ファイナンシャルプランナー・CFP®、日本キャリア開発協会認定キャリアカウンセラー、日本応用カウンセリング審議会認定心理カウンセラー。2006年5月週末起業を決意し、通信会社に勤務しながら合同会社FPアウトソーシング代表を務める。ファイナンシャルプランニングに関する個別相談・セミナー講師としても活動中。

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