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第19回:少子高齢化社会

近年ニュースでも話題になっているとおり、日本は少子高齢化社会を迎えつつあります。では、いつ頃から少子高齢化社会に突入したのでしょうか。実はつい4年前の2004年までは、戦後からずっと人口は増え続けていました。したがって、人口が減り始めたのはつい最近のことなのです。少子高齢化社会は様々な問題を引き起こすといわれていますが、では将来どんな影響があるのでしょうか。そこで今回は「少子高齢化社会」というテーマでお話をしたいと思います。


2050年には65歳以上のお年寄り割合が2倍に!

以下の表をご覧下さい。

<図1>日本の将来推計人口(平成18年12月推計)

日本の将来推計人口(平成18年12月推計)

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この表は日本の総人口の推移(2005年までは実績値)です。この表を見ると、第二次世界大戦が終了した1945年時点では日本には7200万人しかいませんでしたが、2005年では1億2800万人まで増え、60年間で5000万人以上も人口が増えたことになります。ところが、その人口が2005年(正確には2004年)をピークに減少し始めています。これは、子供の生まれる数が減っているためで、約50年後の2055年には7900万人になると予想されています。

では、人口はなぜ減少しているのでしょうか。それは生まれる子供の数が少ないからです。以下のグラフは、「1人の女性が一生の間に平均何人の子供を産むか」を示したものですが、これを見ると生まれる子供の数はここ40年ぐらいずっと減少傾向にあることがわかります。

<図2>日本の合計特殊出生率(実績値)

出展:「人口動態統計」厚生労働省大臣官房統計情報部

子供は男性からは生まれませんので、1人の女性からは平均2人(正確には2.08人)以上生まれないと、人口は減ってしまうことになります。1950年には平均3人以上の子供を産んでいましたが、その後どんどん減ってきており、2005年には1.26人と、ほぼ平均1人までに減ってしまいました。このように、過去60年間ずっと子供が生まれる数は減少し続けていることがわかります。

一方で65歳以上のお年寄りの人口を見ますと、2005年以降は全体の人口が減っているにも関わらず2045年までずっと増え続けています。65歳以上のお年寄りが全人口に占める割合も、1945年にはわずか5%に過ぎなかったのが、2005年には20%を超え、2055年にいたっては40%以上となるのです。

つまり、このままいくと50年後は人口の半分ちかくが65歳以上のお年寄りとなります。 さて、このことから将来はどんな心配が考えられるでしょうか。ここでは、以下の3点に注目して考えてみることにしましょう。

  1. 年金の問題
  2. 医療費の問題
  3. 景気の問題

1.年金制度の問題

近年、年金制度についてはニュースでよく話題になっています。

まず、年金制度とはどんな制度かを簡単にお話しましょう。私たちが生活をするにはお金が必要ですが、お年寄りになると働いてお金を稼ぐことができなくなります。そこで、働けるうちにお金を国に支払っておき、お年寄りになって働くことができなくなってもお金が受取れるようにすることで、老後も安心して暮らせるように政府が考えた制度です。これを「年金制度」といいます。

この年金制度には大きく分けて「積み立て方式」と「賦課方式」という2つの方式があります。主な違いは以下の通りです。

  積立方式 賦課方式
特徴 お年寄りなどに支払う年金の原資は本人があらかじめ自分で積立てる方式。 お年寄りなどに支払う年金の原資を今働いている人たちの保険料でまかなう方式。
長所 自分で積み立てているため、高齢化の影響は受けにくい。 インフレや金利の影響はあまりない。
短所 インフレなどで金利が上がると、将来受取れる年金が少なくなる可能性がある。 将来若い人が減ってお年寄りが増えれば、一人当たりの負担が大きくなる。

積立方式の場合、もらえる年金は「予め自分で積み立てる」方式です。それに対し、賦課方式は、もらえる年金は「そのときに働いている人が負担」をする方式、つまり自分が働いているうちは今のお年寄りの分を負担し、その代わり自分がお年寄りになったら、そのときに働いている人に負担をしてもらうという方法です。

日本では年金制度の柱となる「国民年金」と「厚生(あるいは共済年金)」は、どちらも賦課方式を採用しています。つまり、お年寄りが生活するための年金は、現在働いている人たちが負担している方式を取っているのです。

この場合、働いている人たちが日本にたくさんいれば働いている一人一人の負担は軽くて済みますが、働く人が少なくなっていく、あるいはお年寄りが増えると、働いている人の負担はどんどん重くなっていきます。

1945年から約50年間は、働く人が年々増えていたため、お年寄りが増えたとしてもそれほど問題にはなりませんでした。しかし、最近では人口の減少にともなって、働く人がだんだん少なくなり、一方で2000年頃を境に、お年寄りは急速に増えてきました。今後はさらに少子高齢化が進むことが予想され、そうなるとこの問題はますます深刻なものになっていくのです。


2.医療費の問題

現在お年寄り(75歳以上)にかかる医療費のうち5割は国や都道府県などが税金で負担をしています。当然のことながら今後お年寄りが増えれば、さらに税金が必要になってきます。以下の図をご覧下さい。

<図3>少子高齢化(将来の医療費予測)

少子高齢化(将来の医療費予測)

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少し古いデータになりますが、厚生労働省が「将来いくらぐらいの医療費が必要になるか」を算出したものです。(この場合は70歳以上を「老人医療費」として算出しています)

これを見ると、2025年には、2004年と比較して医療費全体では32兆円から69兆円と2倍以上に、そしてお年寄りの医療費は11兆円から34兆円へと、約3倍に増えています。この増えた医療費分は誰かが負担しなければなりません。この増えた分を負担するのは、「国」「お年寄り」「働く人」のいずれかになるわけですが、すでにお年寄りにかかる医療費の5割は既に国が負担しています。これ以上国の負担が重くなると、更に税金が高くなってしまうため、国の負担を増やすことは難しいでしょう。

では、お年寄りに負担を求めたらどうでしょうか。これもお年寄りには収入が年金しかないため大きな負担を追加で求めることはできません。このように考えていくと、「働く人」に頼らざるを得なくなるため、結局はお年寄りが増えたことにより支払わなければならない医療費を次の若い世代の人に負担をかけてしまうという、年金制度と同様な問題が起きてしまうのです。


3.景気の問題

日本の景気が良いか悪いかは、日本全体でどれだけお金が使われたかで決まります。景気が良いかどうかを判断する代表的な指標の1つに「GDP(国内総生産)」というものがあります。GDPを一言で説明しますと、「日本国内で1年間に新しく作られたモノやサービスの合計額」となるのですが、この金額が大きければ大きいほど“景気が良い”ということになります。

この新しく作られたモノやサービスは、誰かが買ってくれなければ商売になりません。そこで誰が一番多く買っているかというと、それは「国民」です。GDPは毎年約500兆円ですが、そのうちの実に6割にあたる約300兆円は国民が消費しているのです。つまり、国民の消費が日本経済を支えているのです。ところが日本の人口が減ってしまうと国民の消費全体が減ってしまうため、GDPは下がってしまう可能性が高くなります。

また、少子高齢化問題は不動産市場にも影響します。今までは国民1人1人が買う人生で一番大きな買い物は、家やマンションなどの「不動産」といわれるものでした。ところが子供が少なくなると、まず不動産を買う人の数そのものが減ってしまいます。また、それ以外にも、やがて親が亡くなったときに、家やマンションを買わずに親の家を相続したとしても余ってしまいます。話を単純化すると以下の通りになります。

●少子化の影響

少子化の影響

こうなると日本全体で不動産は余ってしまうため、「今後は不動産を買わない」という人も増えてくることが考えられます。つまり、家やマンションを買う人も少なくなれば更にGDPが下がってしまい、日本の景気悪化がいっそう進んでしまう可能性があるのです。


少子高齢化の歯止めになるのは・・・


少子高齢化が進むと、以上のような問題が発生しかねないため、今日本では様々なことが検討されています。では、どのような取り組みがなされているのでしょうか。

まず1つ目は少子化対策、つまり子供が産まれる人数を増やす施策です。

具体的には、夫婦に「子供を産みたい」と思ってもらえるような政策を考えることです。例えば、今現在では働く女性が増えていますが、子供ができると面倒を見てくれる人がいないため、子供が欲しくても作れないという場合も多いのが実情です。そこで、働きながら子育てができるように、保育園や託児所を増やすという施策などが考えられます。また、産婦人科や小児科が減っているので、国が産婦人科や小児科の医師を増やすような政策を作り上げるのも一つの方法でしょう。あるいは、出産にかかる費用を国や地方自治体が負担するという方法も考えられます。いずれにしても、国民が安心して子供を育てていける環境を整えることが必要なことです。

2つ目は外国人労働者の受け入れです。

日本人だけで考えると人口が減る一方ですが、外国人が働いて日本に住めるような環境を作ってあげることができれば、日本全体として人口を増やすことができます。実は今や日本は、日本の製造業などにおいては、外国人の労働者が経済を支えているといっても言い過ぎではないぐらい、たくさんの外国人が日本で働いています。しかし、安い給料で働かされているケースも多いため、外国人労働者が安心して日本に住めるためには、外国人のための年金制度や医療制度をしっかりと整えてあげることも重要でしょう。

少子化対策も外国人労働者の受け入れも決して簡単に解決できるような問題ではなく、実際に効果が出るまでには数年から数十年かかるかもしれません。しかし、対策を打たなければ決して解決はできないのです。日本は既に少子高齢化社会時代に突入しており、したがって少子高齢化対策は緊急の課題なのです。


執筆:坂本光(さかもと ひかる)CFP
一級ファイナンシャルプランナー・CFP®、日本キャリア開発協会認定キャリアカウンセラー、日本応用カウンセリング審議会認定心理カウンセラー。2006年5月週末起業を決意し、通信会社に勤務しながら合同会社FPアウトソーシング代表を務める。ファイナンシャルプランニングに関する個別相談・セミナー講師としても活動中。

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